「身近な街の法律家」と位置づけられる行政書士は、相続に関する様々な手続きを行なっている。行政書士・砂場隆浩氏が言う。
「近年は相続に関する法改正などがあったことで、相談が増えています」
被相続人の財産調査も欠かせない。どう分けるか以前に、遺産がどれだけあるかは相続税に関わるため、迅速かつ正確に進める必要があるのだ。前出・砂場氏が言う。
「財産を完全に把握せずに手続きを終えてしまい、後から新たな財産が見つかった場合は、遺産分割協議から相続税の申告までやり直さなければなりません。そうしたリスクを防ぐため、被相続人が利用していた可能性のあるすべての金融機関に取引確認書を送り、残高等を確認してもらう必要があります。作業にかかる時間と手間を考えれば、専門家に依頼する価値はあるでしょう」
砂場氏は財産調査の際、遺族に「仏壇周りの掃除」を勧めているという。
「仏壇周辺から、見落としがちな農協や漁協の出資金証書、預金証書、友人らの金銭借用書などが出てくるケースがあります。時には、金利が5%の時代の預金証書など、驚くような遺産が見つかることも。古い書類は、専門家でなければ意味がわからず放置してしまうこともあります」
プラスの財産だけではなく「マイナス財産も正確に把握を」と行政書士・千田大輔氏は指摘する。
「大変なのは、借金などの負債を見落としていた場合です。相続した財産の一部をすでに使ってしまっていたら、相続放棄したくても裁判所に認められなくなることもあります」
財産調査にかかる費用はケースによって異なるが、目録作成まで含めて5万~10万円が相場だ。