急速に進行する円安の影響を受けて物価も上昇しているが、やはり影響が大きいのは輸入品だ。ある音楽ファンはこう嘆く。
「もともとここ1年くらい、輸入盤が高くなってきているんですよね。CDはそれほど変わらないのですが、アナログレコードがどんどん高くなっている印象があります。アルバムだと1枚4000円くらい~6000円くらいのものもあるし、7インチのシングルなら、以前1000円前後だったのが、最近は2000円以上するものも多いです」
実際に輸入盤の価格は上がっているのだろうか。音楽事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏はこう話す。
「輸入盤の場合、同じ商品でもレコード店によって販売価格が違うので、一概には言えないのですが、総じて価格高騰し続けているのは間違いありません。円高だった時代には、アルバムで1000円強で買える輸入レコードもそれなりにあったのですが、最近は少なくとも2000円台後半はします。体感的には、この20年で輸入レコードの価格は2倍ほどになり、ここ半年くらいで、また上がり始めているという感じです」
サブスクリプションサービスでの音楽配信が一般的になった一方で、近年はアナログレコード人気が再燃。2020年にはアメリカ国内でのアナログレコードの売上が、CDの売上を超えた。
「輸入アナログレコードの価格が上がっているのは、円安の影響もあるんですが、それだけでなく“豪華”な商品が増えているということもあると思います。アナログレコードはコレクターズアイテムとしても人気なので、豪華なブックレットが付いていたり、ジャケットの仕様が凝ってたりする作品も多く、その結果値段が上がっている。“聞くだけならサブスクで十分”という現実があるなか、わざわざアナログレコードを買うのは、“所有する喜び”を求めているユーザー。高価な商品が増えているのは、コアなユーザーのニーズに応えている面もあると思います」(大塚氏)