「安いから輸入盤を買う」は過去の話に
円安だけでなく、ユーザーの志向の変化という要素もあいまって、価格が上がっている輸入レコード。今では「なかなか手が出せなくなった」という音楽ファンも少なくない。都内に住む自営業の音楽ファンAさん(40代男性)はこう話す。
「1990年代や2000年代前半は、輸入盤が国内盤よりも安かった時代だったので、当時はずっと輸入盤だけを買っていました。ジャンルによってはCDよりアナログレコードのほうが安いものもあったので、レコードもたくさん買っていました。でも、最近は輸入盤があまりにも高い。アルバム1枚に4000円とか5000円を出すのは厳しいなと。私のように“安いから輸入盤を買っていた”世代にとって、今の状況は厳しい。サブスクなら月1000円くらい払えば無数の楽曲を聴けるわけですから、輸入盤を買う機会はどんどん減っています」(Aさん)
一方で、前述したようにアメリカでアナログレコードの売上がCDの売上を超えるなど、アナログレコードがブームになっているわけだが、その状況がアナログレコードの価格にも影響している。神奈川県在住の音楽ファンBさん(40代女性)は、「中古のアナログレコードの相場が上がっている」と話す。
「20年前に1枚100円とかで“たたき売り”されていたレコードが、数千円くらいになっているケースも珍しくありません。昔は中古レコードなんて、まさに“安いからたくさん買える”というのが大きなメリットだったのに、最近はまったくそうではないのがツライです……」(Bさん)
レコードがブームになっていると言われる一方で、輸入盤や中古盤を取り巻く状況も大きく変化している。アナログレコードで音楽を楽しむことが、以前よりもお金がかかる趣味となっているのは間違いなさそうだ。