あなたたちは終末思想、信じているんだよね?
入信する気はもちろんなかったけれど、あっさりハブられると、それもちょっと寂しい。そんなことをベッドの上にひっくり返って天井を見上げながら考え、ここらで生き方を変えないと大変なことになるかも……と腕組みしていたら、ピンポ~ン。
玄関のドアを開けたら若い2人組のお嬢さんが立っていて、「聖書の勉強をしませんか?」と、パンフレットを渡してくる。
「ああ、○ホ○の○○ね?」と言うと、「よくご存じですね」と返してきた。「ちょっと知り合いに入信している人がいるのよ」と言うと、2人の目がキランと光った。
ま、そのときもヒマだったんだよね。
2人を相手に「仕事は何しているの?」「彼氏は?」とこちらから質問攻め。でも向こうは「神の国のあることをぜひ伝えたいんです」「一度勉強会に参加しませんか?」と話がまったく噛み合わない。
それでも応対していたら、「イケる」と思ったのかしら。その後、入れ替わり立ち替わり信者が現れてピンポ~ン。こちらが食事中だろうが仕事中だろうが、お構いなしにドアを開けさせる。そのときギャンブルで負けが込んでいた私は苛立っていたんだと思う。
「あのさ。あなたたちは終末思想……っていうの? ○ル○ゲ○ンを信じているんだよね。それがもうすぐ来るんだよね?」と聞いたわけ。
「はい、そうです。もうすぐです。だからいまのうちに○ホ○の○○にですね、」と言うから、「つかぬことを聞くけど、貯金って持ってる?」とこれまた2人組の中年女性の顔を見たら、「ええ、それは少しは……」と口ごもる。
「ふーん。でさ。ものは相談だけど、その貯金からいくらか貸していただけない? だってもうすぐハ○マ○○ンが来て地球が滅亡するんでしょ? 貯金、いらなくない? いやいや、だからくださいと言っているんじゃない。私、けっこう博才があるのよ。元本を増やして返すからさ」
一気に捲し立てたわよ。そうしたら「いやいや、それはちょっと」と言うから、「もしかして○ル○○○ン、信じてない? それまずくない?」と畳みかけたら、「では今日はこれで失礼します」と帰っていった。