東京地裁の過失相殺率の認定基準では、右側走行の自転車が対向する車と衝突した事故態様の基本的な過失割合は「車80、自転車20」です。ルール違反の自転車でも過失割合が低いのは、自転車は免許不要で、交通ルールを知らない子供も利用すること、速度も歩行者と自動車の中間ぐらいであること、自転車には賠償責任保険等の手当もないことなどが理由だと思います。自転車は自動車や単車より、歩行者に近い位置付けです。
次に、基本的な過失割合を修正するものとして、自転車に「予想できないふらふら走行」があれば自転車に10加算されます。もしふらふら走行を越えて右にハンドルを切ったときには重過失として20加算になると思います。
逆に、あなたが対向自転車に気づきながら漫然と進行して衝突した場合ですが、気づいた時点で制動していれば事故が避けられたとすると前方不注意となり、自転車の過失割合は15マイナスになります。しかし自転車が道路中央の方によろけたことで衝突したのですから、この減点はないと思います。
このように、具体的な増減事由によって大きな違いがあるので、事故態様を正確に把握して、あなたに有利な点があれば保険会社に伝えるべきです。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2022年11月10・17日号