一人一台、通信端末を持つのが当たり前となった昨今。総務省の調査によれば、2021年の日本国内における「モバイル端末全体」の保有率は97.3%であり、そのうちスマートフォン世帯保有率は88.6%、タブレットは39.4%に及ぶ。多くの人にとってスマホやタブレットは、日常生活に欠かせないアイテムとなっている。
しかし、そんな便利なモバイル端末が招く悲劇もある。その一例が「不倫バレ」だ。最近でも、ある女性芸能人の不倫騒動で、iPhoneの中に残されたさまざまな記録が、iPad経由で夫に筒抜けになって、不倫相手とのLINEのやり取りなどがチェックされていたということが報じられている。
「まさかiPadにスマホの中身が同期されていたなんて」──と驚いたユーザーもいるかもしれない。この端末間の同期の仕組みについて、メディア・リテラシー教育に携わっている男性・Aさん(30代)に話を聞いた。
「最近、スマホとタブレットの2台持ちをする人が増えています。とくにApple社製品で互換性が高いiPhoneとiPadをセットで利用する人は多いでしょう。注意してほしいのは新しく購入したApple社製品に1台目の端末と同じApple IDを設定すると、前の端末の情報が2台目の端末に同期されることです。なのでスマホに新しいアプリを入れると、知らないうちにiPadにも同じアプリが追加されていた、と驚いた経験がある人もいるでしょう」(Aさん・以下同)
同期したくない端末で「自動ダウンロード」しない設定
では、端末ごとにApple IDを変えなくてはならないのだろうか。「その必要はまったくなく、むしろIDは一人一種類がよい」とAさんは続ける。
「Apple IDを変えてしまうと、たとえば、スマホ、タブレット、PCなどの異なる端末をApple製品で揃えているメリットが失われてしまいます。Apple IDを変えるのではなく、2台目以降の同期をしたくない端末で『自動ダウンロード』しない設定にすればよいだけです。女性芸能人の不倫がバレてしまった例は、iPadへの同期が問題でした」
これを避けるためには、iPad本体で、『設定』>『App Store』>『自動ダウンロード』から、『App』と『Appのアップデート』をオフにするといいと言う。
「バーが緑色になっている場合はアクティブになっているので、緑色ではなく灰色になった状態が『オフ』になります。もちろん、残したいアプリがあるとか、一部のアプリだけ同期をしたくないという場合もあると思います。その場合は『設定』>『Apple ID』>『iCloud』から、個別のアプリのオン・オフを設定しましょう」
iPhoneとiPad本体のパスワードはそれぞれ好きなように設定できるので、パスワードを使い分けることも大切だ。いまではiPadでも『Touch ID』という指紋認証ができるので、指紋を追加しておくこともセキュリティを高めるうえでは有効となるだろう。