つまり、最も多いのが年収1200万円以上の家庭で、全体の4割近くを占める。そのため、910万円未満への支給とすれば私立中学生に通う家庭の半分以下となろう。私立中学に直接助成金を支給すれば、生徒全員が恩恵を受けるが、個々の家庭に支給する形だと助成を受けられる生徒はグッと減り、支出額も節約できる。
いうまでもなく、すべての中学生は同じように大切な存在だ。それなのに、教育に使われる公費に差があるのもおかしいという意見もあってもいい。子育て支援対策の必要性が問われる現在、国や都は今後どう子どもたちの教育を支援していくのか。注目をしていきたい。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。2022年秋に発行の『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)は受験生の保護者以外も興味が持てる内容と評判の13冊目の単著。