4年に一度のオリンピックが幕を開けた。アスリートたちのメダルを懸けた激しい戦いの舞台裏では、選手を支えるスポーツメーカーも激しい戦いを繰り広げている。
日本人選手の活躍とともに注目されるのが、各社のロゴが入った「ウェア」だ。
2012年のロンドン五輪まで、日本選手団の公式スポーツウェアはミズノ、デサント、アシックスの3社が担当。ウェア、シューズ、バッグなどの各アイテムをローテーションで分担してきた。
だが、2020年夏季五輪の開催地が東京に決まると仕組みが様変わりした。東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会と国内最高位スポンサー「ゴールドパートナー」の契約を締結した企業が、リオ(2016年)、平昌(2018年)、東京(2021年)の3大会でのフルアイテムを独占提供することになったのだ。
この契約を結んだのはアシックスだった。
「ゴールドパートナーは150億円以上の協賛金に加え、選手団やボランティアのウェアの無償提供が必要です。アシックスは海外知名度が高い半面、国内の普及に課題があり、東京五輪をブランドイメージ向上の絶好の機会ととらえた。他方、ミズノとデサントは協賛金だけでも年間の経常利益を上回る水準ということもあって、公式ウェアから撤退しました」(全国紙経済部記者)
ただ、東京五輪は1年延期となったうえに、無観客での開催となった。150億円以上を注ぎ込んで獲得した自国大会での露出が、費用に見合う効果となったのかは、見方が分かれる。
「来場した観客への宣伝効果が得られなかったことは誤算でしょうが、アシックスがゴールドパートナー契約を結んだことによる効果は様々あった。1964年の前回東京五輪で日本代表の練習シューズだったのが前身の『オニツカタイガー』であったことなどが紹介されたことが、現在の同シューズの世界的ブームの下敷きになったという見方もできる」(スポーツメーカー関係者)