管理組合の足跡が見えれば安心・安全
ある程度古い物件は、価格が割安なことに加えて、管理状況が把握しやすいというメリットもあります。新築だとこれから管理組合が組成されるので、そもそも判断材料がなく、築2年などの築浅物件も、管理組合の活動実績がほとんどないケースが多いです。
これに対し、築年数が経っている物件は、記録をたどると管理組合がどのような活動をしてきたかがわかります。なかには、管理計画認定制度やマンション管理適正評価制度の取得に動いていたり、マンション外の地域コミュニティとの交流を深めていたり、実践的な防災訓練に取り組んでいたりと、積極的に活動している管理組合もあります。
このような管理組合が主導するマンションは、管理不行き届きで荒廃するリスクが少なく、管理が買われる時代になった今、資産性が評価されて価値が上がる可能性も。よって、管理組合の足跡が見えない新築・築浅物件よりも、ある意味では安心・安全と言えます。
また、最近は大規模マンション・タワマンが人気ですが、住民が増えれば「モンスター住民」が入り込む確率は高くなります。モンスター住民とは、理不尽なクレームを連発したり、ゴミ出しや駐車場利用のマナーが悪かったり(あるいは、逆にほかの住人のマナーを過剰に注意したり)、部屋をゴミ屋敷にしたりと、さまざまな迷惑行為を働く人のこと。
近くにそのような人が住んでいるだけでマイナスですが、もっと最悪なのは、モンスター住民が管理組合の理事になり、権限を握っているケースです。中古マンションであれば、マンション内でのもめ事や、その解決の流れなどもある程度は記録として残されているので、確認ができます。しっかりと向き合って解決していたり、モンスターを取り締まるルールが明文化されていたりする(たとえば、理事に簡単に再任できないようにする、など)マンションなら、新築・築浅でそのような履歴がないマンションよりも安心でしょう。
※長嶋修・著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成
【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ):1976年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。1999年、不動産コンサルティング会社「さくら事務所」創業。著作に『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』など多数。最新刊は『マンションバブル41の落とし穴』。