「システム」としての鉄道
ここまで説明した時計・オルゴール・鉄道の3つに共通するのは、それぞれが「システム」であるということです。
『広辞苑第七版』(岩波書店・2018年発行)には、「システム」は「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」であると記されています。
そう、鉄道はまさにこれです。鉄道を支える施設や設備、そして人は、それぞれ関係し合うことで、全体として「陸上輸送」というまとまった機能を発揮しています。
この記事の冒頭で、「鉄道は列車ダイヤに従って陸上輸送を実現するシステムである」と記したのは、このためです。
【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。著書多数。