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「ギリギリでも間に合ってしまった…」“誤った成功体験”が先延ばしを助長する ペナルティや報酬で「正しい成功体験」へ上書きすることが重要

“痛い目”とは、いったいどういうことか、説明しておきましょう。経理業務にしろ、精算作業にしろ、先延ばしグセがある人は、「今までに失敗をした経験がない」。そうは言えないでしょうか?

 たとえば、周囲に「提出が遅い」と指摘されたり、小言を言われたりしながらも、最後はうまくいった。

「この3か月前のタクシーのレシートは、どこからどこまで乗ったのだったか」と忘れてしまっても、スケジュール帳を見れば、難なく思い出せた。つまり、一種の「成功体験」が身にしみついているから、「この程度なら大丈夫」とズルズル先延ばししてしまうのです。

「先延ばしをするのは、褒められない過去の成功体験が原因」という意味を込め、私はそのような“成功体験”を「誤った成功体験」と呼んでいます。

 誤った成功体験は、ほかの事柄にも当てはまります。

 夏休みの宿題を8月の下旬まで着手できないのも、「去年もギリギリで通用したから」という誤った成功体験のせい。試験に一夜漬けの勉強で挑むのも、「毎回なんとかなっている」という誤った成功体験のせい。

 その証拠に誤った成功体験がないところでは、先延ばしをしようという気持ちにはなりにくいものです。

 たとえば、小学1年生や新入社員の時期、新たな人間関係の場に身を置いたとき、緊張も手伝うせいでしょうか、あらゆる局面で「先延ばしをしよう」という気持ちにはならないはずです。

 話を元に戻しましょう。

 先延ばしグセをやめたければ、“痛い目”に遭えば簡単です。

「今月は、レシートの提出が1日遅れたので、あなたが立て替えた10万円は返金できません」と経理部から知らされる……。

 あくまで仮定の話ですが、そんな事態を1回でも経験すれば、次の月からは絶対に先延ばしをしなくなるはずです。

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