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ビジネス

《三笘の1ミリの立役者》ゲーム事業が収益を支えるソニーが「コンテンツの会社」にシフトしても捨てないハード事業、「VAR」のシステムも提供

ソニーグループはVARシステムをFIFAに提供している(写真は2022年のサッカーW杯。左は三苫薫/Getty Images)

ソニーグループはVARシステムをFIFAに提供している(写真は2022年のサッカーW杯。左は三苫薫/Getty Images)

 12月19日、出版大手・KADOKAWAの筆頭株主になったことが明らかになったソニー。営業利益の約6割をゲーム、音楽、映画で稼いでいることからも分かる通り、ソフト事業へシフトしたことが、同社躍進の原動力となったわけだが、ハード事業を捨てたわけではない。ソニーの収益を支えるゲーム分野、そして新たなハード事業について、ジャーナリスト・大西康之氏がレポートする。【全3回の第2回。全文を読む

「三苫の1ミリ」を“創造”

 ソニーがゲームでも力を注ぐのはIPの拡大だ。2022年には37億ドル(約5600億円)を投じて米ゲーム・ソフト会社のバンジーを買収した。同社はネット上で利用者が関わり合いながら遊ぶ「ライブゲーム」を得意とする。ソニーによる買収としてはコロンビア・ピクチャーズ、EMIパブリッシングに次ぐ金額で、力の入れようがわかる。

 ゲーム分野でソニーが優位なのは「プレイステーション」という世界最強のプラットフォームを握り、安定的な収入が得られる「サブスクリプション(加入)型」モデルを確立していることだ。

 月額850~1550円を支払って最新のソフトや機能を楽しむ「プレステ・プラス」の加入者は5000万人。無料で加入できるプレステネットワークの登録者は1億1800万人に及ぶ。

 世界に広がるプレステユーザーはハードやソフトを買うだけでない。

 実はゲーム事業のなかで一番儲かっているのは、ゲームの中で敵を倒すための武器や魔法(アイテム)を追加購入する「アドオンコンテンツ」。いわゆる「ゲーム内課金」で、営業利益の35%近くを占める。

 2012年に51歳で社長に就任した平井一夫氏は「ソニーはKANDO(感動)会社」という経営方針を掲げ、2023年まで社長を務めた現会長兼CEOの吉田憲一郎氏は「10億人とつながって世界をKANDOで満たす」と語った。

 過去6年間でコンテンツ分野に約1兆5000億円を投資してきた。2023年4月に就任した十時裕樹社長は「2027年度までの3年で同分野に1兆8000億円を投じる」と宣言している。

 ソニーは完全にコンテンツの会社になってしまうのか。そうではない。

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