西友CEO時代は6期連続の増収増益達成に貢献したスティーブン・デイカス氏
海外から巨額買収を提案されているセブン&アイ・ホールディングスが新体制に移行することになった。2016年から同社を率いた井阪隆一社長(67)が退任し、後任に社外取締役のスティーブン・デイカス氏(64)をあてると発表された。同社で初めての外国人トップとなる。
セブンを巡っては、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが総額7兆円規模の買収を提案。これに対し、セブン側は創業家による自社買収など防衛策を模索していた。なぜこのタイミングで社長交代なのか。全国紙経済部記者が解説する。
「井阪氏は会見で『国内の事業構造改革は一定のめどがついた』などと説明しましたが、買収提案が引き金になっているのは間違いないでしょう。ライバルのファミリーマートを傘下に持つ伊藤忠商事が(創業家の)自社買収計画から手を引いたことで単独経営か買収を受けるかの二択に。単独経営を維持するには井阪社長が退き、株主に対して“経営刷新”を印象づける必要がありました」
実際、セブンは社長交代にあわせて、2030年度までに2兆円の自社株買いを実施する方針も示し、株主還元をアピールした。
後任社長・デイカス氏の華々しいキャリア
デイカス氏は米ウォルマート出身で、ユニクロのファーストリテイリングで海外事業責任者、スシローの親会社で代表取締役会長などを歴任。日本語は堪能で、日本市場にも精通している。
最高経営責任者(CEO)として率いたスーパーマケット西友では6期連続の増収増益達成に貢献。現場の声に耳を傾ける姿勢が目立ったという。
「当時、店舗で働くパートタイマーの組合員化が議題になっていました。ウォルマートは労組嫌いで有名だが、デイカス氏は『パートの方の話はなかなか聞けない。労組で声をまとめて会社側に伝えてほしい』と賛同した。パートの時給も上がりました」(西友関係者)