コロナ禍の2年が経過し、人と人が直に接する機会の減少を感じる人は多いだろう。たとえば職場における離任・着任時や地域での転入・転出時など、かつては定番だった“挨拶”がオンラインで済まされることもあり、簡略化の傾向があるようだ。そうした挨拶に付きものだった手土産や贈り物をする風習にも変化が生じている。一方で贈り物をめぐるトラブルもある。別れの季節でもある春を迎え、贈り物に関して「どうするのが正解だったのか……」と頭を悩ませているという2人の主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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春は別れの季節。お世話になった人へ感謝の気持ちを伝えたいと考えている人も多いのではないだろうか。そこで話題に上がるのが、お礼代わりの贈り物についてである。近年ではお中元やお歳暮の文化が以前に比べて廃れてきたとの指摘もあるが、別れの挨拶に持参するお礼の品はどうなのだろうか。
都内在住の専業主婦サキコさん(仮名・38歳)は、夫と2人の子の4人家族。子供の習い事でお世話になった幼児教室の先生にお礼の品を渡すことをめぐり、ちょっとした不満を抱いているという。
「私立小学校の受験対策を行う教室へ子供を通わせていました。2年間お世話になった甲斐もあり、第一志望の小学校へ合格することが出来ました。先生にお礼の気持ちを表したくて菓子折りを渡そうとしたら、ママ友から『先生も気を遣うと思う。サキコさんが持って行ったら、他のママたちも持って行かなくちゃいけないって思うかもよ』と言われてしまったんです。そんなことありますかね?」(サキコさん)
サキコさんが渡そうとしていたのは、1箱5000円の有名な洋菓子メーカーの菓子折り。「合格まで導いてくれたお礼としては妥当だと思う」(同前)とのことだった。
ところが、サキコさんが渡すより先に、教室のほうから贈り物を控えて欲しい旨の手紙を受け取ってしまったという。
「お手紙には理由は特に書かれておらず、モヤモヤした気持ちになりました。私としては単純に感謝の気持ちを伝えたいだけなのに……。いろいろな考えの保護者がいて、教室側に何か言ったのかもしれませんね」(サキコさん)
サキコさんの友人曰く、「志望校に不合格だったご家庭への配慮も大きいのではないか。高額な月謝を支払っていたにもかかわらず不合格だったら、その人は先生に感謝の気持ちを伝えにくいかもしれない」という。しかしサキコさんは、それでも予定通り菓子折りを渡しに行く予定だそうだ。