物価高でリユース市場が活発化している。2010年代後半から男子学生を中心に浸透した古着ブームも勢いも衰えを見せず、現在も拡大中だ。ストリート系のファッションを好む若い女性や、Y2Kファッション(2000年代のトレンドを取り入れたファッション)に身を包む若者たちを中心に顧客を広げているという。
コロナ禍には飲食店などの空き店舗が増加し、都心部でもテナント料が下落したことで、そこにリサイクルショップや低価格帯の古着屋が参入したケースも少なくない。
しかし、こうした古着ブームのなかで、個人経営を続けている中堅古着屋が苦境に立たされているという。
1990年代終わり頃から都内の一等地で“1990年代のUS古着”を専門に取り扱う古着屋を経営している男性・Aさん(40代)が語る。
「うちはもともと、限られた顧客に向けてスタイルを貫いて古着を売ってきました。しかし、古着ブームが起こったことで客層が広がり、競合他社の参入が急増しました。そうなったときに、うちのような個人経営の店は、買い付け力が大手にはかなわないんです。アメリカ現地での古着ブームもあり、良い商品を買い付けるのがどんどん難しくなっている。
そこに追い討ちをかけたのが円安です。ディーラーとツテがある大手は、大量に買い付けて低価格帯で売ることが可能ですが、うちのように個人でやっていると難しい。古着ブームによって、リサイクルショップがブランド古着に限らず、欧米の古着を取り扱うケースも増えています。以前はレギュラー品(ブランド品ではない、付加価値のない通常商品)で5000円くらいで売っていた商品が、今では1万円に値上げせざるを得ない状況になっています」(Aさん)