宮崎県日向灘を震源とするM7.1の地震をきっかけに、政府が史上初となる南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表、改めて震災への備えが意識されている。
巨大地震によるリスクといえば、多くの人は福島第一原発のメルトダウンを思い浮かべるだろう。
南海トラフ地震の最大規模はM9と想定されている。その「想定震源域」内に立地するのが浜岡原発(静岡県)と伊方原発(愛媛県)。加えて今回のように日向灘が震源となった場合、川内原発(鹿児島県)への影響が指摘されている。
どのくらい危険なのか。
今年1月に起きた能登半島地震(最大震度7)では震源から約70キロ離れた志賀原発(石川県)が「震度5強」に見舞われた。使用済み核燃料プールの冷却水が溢れ、原子炉を稼動させる変圧器が損傷して油が流出、外部電源も1系統が使用できなくなった。ただ、同原発は2011年から停止中で、深刻な事故には至らなかった。
地震による原発リスクに備えるには、個別の原発の状況と、具体的にどんな事故が起きる可能性があるかを知り、“正しく怖がる”必要がある。
しかし、今回の「巨大地震注意」で大メディアは、各電力会社が対策本部を設置したことなどを報じる程度で、個別の原発の状態を詳細に報じない。本誌・週刊ポストは南海トラフ地震で懸念される3か所の原発のリスクを調査した。